会長挨拶

我が国を取りまく安全保障環境の変化の中で、とりわけ北朝鮮による核・ミサイル開発の脅威、中国の軍事近代化による宇宙利用の急伸、ロシアの宇宙戦力の強化、そして同盟国である米国の宇宙軍新編構想などが進行しつつあります。
一方、我が国は宇宙基本法の制定以降、安全保障上の宇宙利用が着実に進展し始めていますが、各国の宇宙における諸活動には十分、追いついていない状況です。

こうした状況下において、我が国の安全保障を強化し、我が国と価値観を共有する諸外国と共に世界の平和に貢献するためには、政・官・学・産業界が連携して、宇宙空間の安定的利用の確保、宇宙を利用した安全保障能力の強化、並びに日米同盟に基づく安全保障分野における宇宙活動の協力・推進等を加速、拡大することが求められています。
しかしながら、我が国においては、過去に宇宙の安全保障利用が制約されていたこともあり、宇宙基本法の制定から10年を経た現在でもこの分野に関する技術・政策・知見などは発展途上にあり、宇宙活動に関する組織、人材、インフラ、予算などの面でも遅れが生じております。また、宇宙に関わる安全保障能力の強化構想、整備計画、研究開発、国際協力などを総合的に推進する宇宙利用戦略を速やかに構築する必要に迫られています。

このような状況に鑑み、今般、一般社団法人 日本宇宙安全保障研究所(英文名:Japan Institute for Space and Security(JISS))を設立することといたしました。
当研究所は、我が国の宇宙を利用した安全保障能力を強化するため、安全かつ安定的な宇宙の利用を確保すると共に、我が国の防衛及び宇宙産業の振興、並びに宇宙安全保障分野における国際協力を推進し、専門的かつ継続的な調査研究及び発信を積極的に行うことを目的とするシンクタンクです。
当研究所の目標と活動方針は、我が国が積極的平和主義のもとに、日米同盟を基軸として東アジア及びインド太平洋地域の平和と安定に寄与することを目的として進めている国の政策とも合致するものと確信しております。
皆様の一層のご支援とご協力をお願いする次第です。

2018年9月

一般社団法人 日本宇宙安全保障研究所

会長 森本 敏