MD研究会からのお知らせ MD#13(更新)
更新日:令和5年5月9日
内容:R5第1回分科会の実施報告と次回のご案内
発信者:MD研究会 三堀(幹事代表)
分類:研究会_MD
"R5第1回分科会の実施報告と次回のご案内"
本年度第1回分科会(4/27)を実施しました。今回、外部からは、特別ゲストに中国軍事問題研究家 田中三郎氏、一般会員から2名の皆様に参加いただきました。また、研究所側からは、MD研究会の研究員に加え、今津理事長を始め、長瀬理事、外園理事の参加を得て実施いたしました。
テーマの一つ目は、先般発表しました2022年度研究報告書【中間報告】から、その結論部分にあたる3章「インテリジェンス・監視・偵察への宇宙利用」を取り上げ、NATO、ロシア、中国の宇宙を利用したISR能力がどのように評価されているか、そして、戦闘の展開に影響を及ぼしているかについて、MD研究会の所見を紹介しました。
二つ目は、メディアでも報道され話題となっている「CSISの台湾侵攻ウォーゲーム」を取り上げ、そのなかで「戦闘はどのように展開したのか」 を読み解くことで、我々が対象とするミサイル攻撃の実相に迫ろうというものです。
我々の置かれている状況について、習近平の4期目の続投がかかる第21回党大会が開かれる2027年までに台湾併合への具体的な動きが生起する蓋然性は極めて高いこと、紛争対処にあたって正面となる米インド太平洋軍の前司令官のデイビッドソン元提督及び現司令官のアキリーノ提督が、今年に入ってからも、様々の機会に、具体的な時期こそ言及はしないものの、「脅威は増大し、間違った方向に進んでいる」との認識を異口同音に発言していること、また近年米国内は、議会、官民を問わず、大きく対中強硬姿勢のコンセンサスできあがりつつあり、様々な方面で最悪事態(中共軍の台湾への軍事侵攻)に備える動きが加速していることの認識を、参加者で共用できたと思います。
さらに、その一環として、一般においても広く議論をすることで最悪事態の抑止に向かってあるべき方向を模索するために、近年、今回のCSISウォーゲームの他にも、同種の研究が著名なシンクタンクから発表されていることを、我々も真剣に捉えるべきと考えます。
次に質問が集中したのは、やはりCSISウォーゲームの各論(中身)についてでした。まずは、軍事力の行使にまで至るのか、本当に日本の参戦はあるのかといった「政治的意思決定」などについての確認がまずありました。そのほか、両軍の能力レベル、兵器の有効性、ASATやサイバー戦への取組み方等についての質問もありました。しかし、これらはウォーゲームの目的を踏まえた前提条件として設定されているもので、シナリオで調整されるものとなっており、ゲーム進行における参加メンバの選択肢ではないことを説明しました。
これら議論を通じて、今回のウォーゲームの狙いは、中国の台湾侵攻の成否の評価とともに、設定条件を変えたゲーム(基本2+追加22シナリオ)を回した結果の差から、武力による台湾侵攻があった場合の被害を最小とするための、米国側の「政策、戦略、ドクトリン、軍備態勢、兵器、プラットフォーム」のあり方についての提言を導き、それらについての討論を促進するためのものであることを、理解いただけたものと思います。
今回の分科会も議論は尽きず、2時間を大きく超えることとなってしまいました。紹介したCSISウォーゲームでは、「台湾の防衛には成功するが、日米は航空機については約450機近くを失い(90%以上は地上で破壊)、さらに艦艇については、米空母2隻と戦艦約15隻、海自約25隻を失う」という大きな損失を受けることとなりました。あくまでもウォーゲームとしての一つの結果で未来を予想するものではありませんが、この結果にいたる背景には、今日まで中国が「国土防衛」という目標に向かって体系的に強化してきた「A2/AD態勢」と、我々がそれに真剣に向き合ってこなかった怠慢の結果としての現状とに圧倒的な差があることに、目を背けるわけには行きません。
次回は、この体系的に強化されてきた中共軍の「A2/AD態勢」をテーマに深掘りし、さらに議論を続けたいと考えてます。
つきましては、2項「次回予定等」に計画を載せておきますので、奮ってご参加いただければ幸甚です。
また、新規の参加者(会員)もウェルカムです。【コチラ】を参考にお申し込みください。
1.第1回の実施内容:
テーマ: ”ミサイル攻撃の実相を探る”
日時/場所:4月 27 日(木) 14:00-16:00 @JISSオフィス
内容:・「インテリジェンス・監視・偵察への宇宙利用」(技術報告書【中間報告】3章の解説)
・米戦略国際問題研究所(CSIS)による”中国の台湾侵攻ウォーゲーム”の紹介
■中共軍の台湾侵攻の時期?
■戦闘はどのように展開したのか -CSIS台湾侵攻ウォーゲーム:基本シナリオの展開
・【着上陸侵攻】(中国メディアが報じる基本的な3段階)
・【台湾主要施設へのミサイル攻撃・制空】
・【米空母打撃軍の壊滅】
・【米軍基地等への攻撃】
・【日本の参戦・反撃(スタンド・オフ防衛)能力】
■結果
・【米国の戦争、犠牲者数 ワースト10?】
■提言 -基本ケースの条件を変更した場合の影響
・「我が国に振り返った場合の示唆」
2.第2回予定等:
- 場所等:参加者はJISSオフィス(紀尾井町)に5分前までに参集。なお、リモート配信は行いません。
- 講義、資料等:すべて幹事側にて準備します。
- 会議でのディスカッションはチャタムハウス・ルールに準じることとします。参加者には自由な意見交換をお願いします。
3.今後の計画: 毎月月末の木曜日に開催することで、原則運営いたします。
・第3回 6月29日(木)14:00-16:00 @JISSオフィス
以上
更新日:令和5年5月9日
内容:R5第1回分科会の実施報告と次回のご案内
発信者:MD研究会 三堀(幹事代表)
分類:研究会_MD
"R5第1回分科会の実施報告と次回のご案内"
本年度第1回分科会(4/27)を実施しました。今回、外部からは、特別ゲストに中国軍事問題研究家 田中三郎氏、一般会員から2名の皆様に参加いただきました。また、研究所側からは、MD研究会の研究員に加え、今津理事長を始め、長瀬理事、外園理事の参加を得て実施いたしました。
テーマの一つ目は、先般発表しました2022年度研究報告書【中間報告】から、その結論部分にあたる3章「インテリジェンス・監視・偵察への宇宙利用」を取り上げ、NATO、ロシア、中国の宇宙を利用したISR能力がどのように評価されているか、そして、戦闘の展開に影響を及ぼしているかについて、MD研究会の所見を紹介しました。
二つ目は、メディアでも報道され話題となっている「CSISの台湾侵攻ウォーゲーム」を取り上げ、そのなかで「戦闘はどのように展開したのか」 を読み解くことで、我々が対象とするミサイル攻撃の実相に迫ろうというものです。
我々の置かれている状況について、習近平の4期目の続投がかかる第21回党大会が開かれる2027年までに台湾併合への具体的な動きが生起する蓋然性は極めて高いこと、紛争対処にあたって正面となる米インド太平洋軍の前司令官のデイビッドソン元提督及び現司令官のアキリーノ提督が、今年に入ってからも、様々の機会に、具体的な時期こそ言及はしないものの、「脅威は増大し、間違った方向に進んでいる」との認識を異口同音に発言していること、また近年米国内は、議会、官民を問わず、大きく対中強硬姿勢のコンセンサスできあがりつつあり、様々な方面で最悪事態(中共軍の台湾への軍事侵攻)に備える動きが加速していることの認識を、参加者で共用できたと思います。
さらに、その一環として、一般においても広く議論をすることで最悪事態の抑止に向かってあるべき方向を模索するために、近年、今回のCSISウォーゲームの他にも、同種の研究が著名なシンクタンクから発表されていることを、我々も真剣に捉えるべきと考えます。
次に質問が集中したのは、やはりCSISウォーゲームの各論(中身)についてでした。まずは、軍事力の行使にまで至るのか、本当に日本の参戦はあるのかといった「政治的意思決定」などについての確認がまずありました。そのほか、両軍の能力レベル、兵器の有効性、ASATやサイバー戦への取組み方等についての質問もありました。しかし、これらはウォーゲームの目的を踏まえた前提条件として設定されているもので、シナリオで調整されるものとなっており、ゲーム進行における参加メンバの選択肢ではないことを説明しました。
これら議論を通じて、今回のウォーゲームの狙いは、中国の台湾侵攻の成否の評価とともに、設定条件を変えたゲーム(基本2+追加22シナリオ)を回した結果の差から、武力による台湾侵攻があった場合の被害を最小とするための、米国側の「政策、戦略、ドクトリン、軍備態勢、兵器、プラットフォーム」のあり方についての提言を導き、それらについての討論を促進するためのものであることを、理解いただけたものと思います。
今回の分科会も議論は尽きず、2時間を大きく超えることとなってしまいました。紹介したCSISウォーゲームでは、「台湾の防衛には成功するが、日米は航空機については約450機近くを失い(90%以上は地上で破壊)、さらに艦艇については、米空母2隻と戦艦約15隻、海自約25隻を失う」という大きな損失を受けることとなりました。あくまでもウォーゲームとしての一つの結果で未来を予想するものではありませんが、この結果にいたる背景には、今日まで中国が「国土防衛」という目標に向かって体系的に強化してきた「A2/AD態勢」と、我々がそれに真剣に向き合ってこなかった怠慢の結果としての現状とに圧倒的な差があることに、目を背けるわけには行きません。
次回は、この体系的に強化されてきた中共軍の「A2/AD態勢」をテーマに深掘りし、さらに議論を続けたいと考えてます。
つきましては、2項「次回予定等」に計画を載せておきますので、奮ってご参加いただければ幸甚です。
また、新規の参加者(会員)もウェルカムです。【コチラ】を参考にお申し込みください。
1.第1回の実施内容:
テーマ: ”ミサイル攻撃の実相を探る”
日時/場所:4月 27 日(木) 14:00-16:00 @JISSオフィス
内容:・「インテリジェンス・監視・偵察への宇宙利用」(技術報告書【中間報告】3章の解説)
・米戦略国際問題研究所(CSIS)による”中国の台湾侵攻ウォーゲーム”の紹介
■中共軍の台湾侵攻の時期?
■戦闘はどのように展開したのか -CSIS台湾侵攻ウォーゲーム:基本シナリオの展開
・【着上陸侵攻】(中国メディアが報じる基本的な3段階)
・【台湾主要施設へのミサイル攻撃・制空】
・【米空母打撃軍の壊滅】
・【米軍基地等への攻撃】
・【日本の参戦・反撃(スタンド・オフ防衛)能力】
■結果
・【米国の戦争、犠牲者数 ワースト10?】
■提言 -基本ケースの条件を変更した場合の影響
・「我が国に振り返った場合の示唆」
2.第2回予定等:
- 場所等:参加者はJISSオフィス(紀尾井町)に5分前までに参集。なお、リモート配信は行いません。
- 講義、資料等:すべて幹事側にて準備します。
- 会議でのディスカッションはチャタムハウス・ルールに準じることとします。参加者には自由な意見交換をお願いします。
3.今後の計画: 毎月月末の木曜日に開催することで、原則運営いたします。
・第3回 6月29日(木)14:00-16:00 @JISSオフィス
以上