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研究会

第51回知能システムシンポジウムにて、「大規模言語モデルによる量子アニーリング計算のハミルトニアン設計」 を発表

日程: 2024年3月12日(火曜日)
会場: 近畿大学東大阪キャンパス

外園 博一 理事
高橋 邦明 主席研究員
眞嶋 徳次 主席研究員

「大規模言語モデルによる量子アニーリング計算のハミルトニアン設計」

最適化問題は、現代社会の様々な課題を解決するための手法として広く利用されており、効率的なリソース配分やコスト削減、スケジュール調整など多岐にわたる分野で成果が期待されています。近年、量子アニーリングは特に複雑で計算負荷の高い最適化問題を高速で解決する能力がある技術として注目されています。しかし、量子アニーリングを効果的に活用するためには、社会課題を細分化し、ハミルトニアンとして表現し、QUBO(Quadratic Unconstrained Binary Optimization)形式に変換する必要があります。この変換作業には広範な知識と専門性が求められ、適切な人材の育成は一般に困難でることから、今後本研究手法の適用が広く望まれます。

これらの課題を解決するため、JISS、防衛大学校及びBTCは、生成AIを活用してハミルトニアンを生成し、量子アニーリングにより解を導く手法を開発しました。生成AIは自動的に大量のデータからハミルトニアンを生成しますが、その品質にはばらつきがあるため、説明可能AIの手法を用いて品質を確保しました。この手法を航空機の部品在庫量の最適化問題に適用し、従来の手法と比較しても遜色のない結果が得られました。

これにより、量子アニーリングの専門知識を持たない者でも社会課題を解決するために量子アニーリングを活用することが可能となり、従来の手法では計算が困難であった複雑な社会課題の最適化も可能であることが示されました。これらの成果は、量子アニーリングの普及と実用化に向けた大きな一歩となり、今後はより多くの社会課題に対してこの手法を適用することで広範な分野での効果的な最適化が期待されます。

この研究は、防衛及び宇宙分野における量子アニーリングの応用可能性を広げるものであり、防衛及び宇宙分野の様々な現実課題に対する解決手段として有効です。また、日米首脳共同声明「未来のためのグローバル・パートナー 」においても、防衛分野だけでなく、宇宙分野や量子コンピューティングにおける協力が明記されており、当研究所の取組は日米防衛協力にも貢献できるものと考えられます。

以上