内容:第5回分科会の実施報告と次回のご案内
発信日:令和6年12月2日
発信者:分科会幹事代表 三堀 隆(主席研究員)
"MD分科会 R6第5回分科会の実施報告と次回予定等"
今回は、「大規模災害発生時の宇宙利用」を取り上げ、本テーマについて研究論文を発表されている有人宇宙システム株式会社常務取締役の中村太一氏に講師をお願いし、分科会を実施しました。 お陰様で、一般会員8名、研究所側からは長瀬理事、肥田木事務局長及び研究員の4名が参加し、計12名で積極的な意見を交換できました。
さて、記憶に新しい、東日本大震災(2011)、能登半島地震(2024)においては、衛星を使った被災状況の把握に役立てられたように、宇宙を利用した広域/即時の観測は、世界レベルで重要なテーマとなっています。
また地震の大きな揺れによる家屋の倒壊、道路・生活インフラの寸断だけではなく、前者のように津波や、原子力発電所事故により、災害が広域化すると、陸海空各自衛隊に災害派遣要請が出され、迅速に大規模な部隊を輸送・ 展開し、必要に応じ対処態勢を⾧期間にわたり持続することが求められこととなります。
特に、「東日本大震災」の例では、被害が甚大となることから、内閣総理大臣による「災害緊急事態の布告」がなされ、防衛大臣の命令により、「統合任務部隊」が組織されて、対処にあたりました。これは、まさに脅威によるミサイル攻撃への統合任務対処と同じといえます。
中村氏は、そういった災害応急対応時のワークフローを定義し、求められる観測ニーズを設定し、「必要とされる衛星コンステレーションをどう決定するかという問題に、サービサビリティという評価指標・関数※を提案」(研究)されています。今回の講義では、サービサビリティの考え方やその適用例をご紹介いただきました。我々にとって安全保障の観点からも、現状の観測衛星を補完すると思われる小型衛星をどう組み合わせかを検討する有効な指針となるものと考えます。
※:所定時間内に被災箇所を特定できる可能性(内訳のパラメータ:衛星ターンアラウンド時間、地上処理時間、晴天率等)
また、講義では、ミサイル防衛(反撃能力)への応用、またその先にある防災運用での安全保障と商用コンステレーションの連携にも、意見交換を広げていただき、大変有意義な時間となりました。
講師並びにご参加いただいた皆様に運営側から深く感謝いたします。ありがとうございました。
以上
1.今回の実施内容:
■ テーマ:”大規模災害発生時の情報収集や応急対応に不可欠な宇宙”
- 衛星による災害観測能力の総合的評価手法とそれに基づくコンステレーション設計-
■ 講師: 中村 太一 工学博士(有人宇宙システム株式会社 常務取締役)
■日時/場所:11月28日(木) 15:30-17:00 @JISSオフィス
■内容:
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- ⅰ 衛星災害観測の動向と課題
- ⅱ サービサビリティ関数の導出と ALOS-2型コンステレーションの検討
・サービサビリティとは?
・ALOS-2型コンステレーションの構築検討例 - ⅲ 災害対応コンステレーション 並びに小型衛星との組合せ
・災害フェーズの想定
・コンステレーション例
・ 小型衛星との組合せによるコンステレーション例 - ⅳ 反撃能力に資する衛星コンステレーションの検討
- ⅴ 今後の展望(2024年の視点から)
・ 最新データ技術の適用
・ "リアルタイムインフラ”の構築に向けて
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2.次回予定等:
■ 第6回 :イランへの反撃 “ Days of Repentance(悔改めの日々) ”
■ 講師 : 三堀 隆(JISS 主席研究員)
■ 日時/場所: 12月19日(木) 15:00-17:00 @JISSオフィス ←月末ではありません、ご注意ください!
以上