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研究会

MD研究会からのお知らせ MD#18

発信日:2023年9月22日
内容:R5第6回分科会の実施報告と次回のご案内
発信者:MD研究会 三堀(幹事代表)
分類:研究会_MD

“R5第6回分科会の実施報告と次回のご案内”

 第6回分科会(9/21)を、一般会員1名、研究所側からは藤井事務局長及び研究員4名、計5名の参加のもと、以下の通り実施しました。

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 今回は、「中共火箭軍(PLARF)とその主な保有ミサイル」を取り上げました。前回の「米早期警戒衛星とSEW情報」を受ける形で、我が国が「早期警戒」として、監視の対象とすべき「ミサイル及びその発射地点とは?」という質問に、対応しようとするものです。

 「脅威ミサイル」や「ミサイル発射基地」については、研究報告(#1,#2)でも、その概要を紹介していますが、今回の分科会の報告では、昨年10月に発表され、最近マスコミで話題となっている、米国空軍省のシンクタンク中国航空宇宙研究所( CASI )発表の「PLA Rocket Force Organuzation(中共ロケット軍の組織)」に主に基づき、その位置/配備ミサイル(推定)のより具体化を図りました。また、取り上げた主な対象ミサイルの諸元についても、基本的には米戦略国際問題研究所(CSIS)のMissile Threatプロジェクトに掲載されているものを参考にしましたが、最新の公開情報で補足し、分析をアップデートしました。

 会議の冒頭では、前回の「SEW情報に頼りすぎることの危うさ」についての振り返りで、現在利用しているSEW情報では、様々な制約があるうえ、原理的に情報入手までの時間遅れは避けられないため、我が国としての迎撃・反撃に間に合わないことを再確認しました。
 また、その具体的な対策については、もちろん宇宙配備の早期ミサイル発射探知システムが必要であることは当然ですが、ミサイル発射探知すら未だに米国依存から全く抜け出ることができない政府・防衛省の姿勢を考えると、まずは逆説的に米軍がCueing情報としているJTAGS情報を我が国のミサイル防衛システムに常時入力させるようにすべきとの意見がでるなど、大いに議論が盛り上がりました。

 今回取り上げた脅威の中核である中共火箭軍(PLARF)は、2015年末の中共軍の再編にあたり、いわゆる陸海空三軍に並ぶものに昇格した軍種です。その中で今回焦点をあてたのは、日本を対象としているとされる北部戦区瀋陽に司令部を置く65基地と東部戦区黄山に司令部を置く61基地のミサイル部隊です。細部は、ここでは省略しますが、これらに関する最新の情報をもとにした検討でいくつかの気付きがありました。なお、今回の検討結果のポイントは次のとおりです。

  • 想定される先制飽和攻撃に対して、ターミナル段階での迎撃には制限があり、AEGIS艦によるミッドコース段階での迎撃が「要」
  • しかし、ミッドコース段階での対応では、現状は極超音速兵器の能力が勝り対処は困難。対処兵器の改良/開発が必要
  • 防衛計画の目標として2027年を見据えた場合、対処兵器については残念ながら実現できることは限定される
    想定される脅威ミサイル全体を考えた場合、弾道ミサイル、巡航ミサイル等への対処には現有能力の延長で対応が可能ですが、極超音速脅威への対処には、SM-6改/GPIの導入が急がれます。しかし、GPI開発は2032年にようやく実証完了となる計画であり、全くタイミングが合っていません。
  • いすれにしても、ミッドコース段階は、AEGIS艦による脅威ミサイルの対処が前提。そのAEGISシステムの探知・追尾能力の最大限発揮には、ミサイル発射探知情報をCueingに使い、レーダ・リソース・マネジメントを最適化することが不可欠

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 次回第7回は、8月31日に公表された「令和6年度概算要求」を取り上げます。昨年末の新防衛3文書を受けての要求であり、果たして、スタンド・オフ防衛能力やミサイル防衛能力についての具体的な要求はどうなったでしょうか?、新たな目玉は?など、チェックする項目は多いと思います。
 現時点での計画を2項「次回予定等」に載せておきますので、奮ってご参加いただければ幸甚です。新規の参加者(会員)もウェルカムです。【コチラ】を参考にお申し込みください。

1.今回の実施内容:

  テーマ: ”中共火箭軍(PLARF)と主な保有ミサイル”
      -我が国に向けられるミサイル-
   日時/場所:9月21日(木) 15:00-17:00 @JISSオフィス
   主な内容:(以下のとおり)

  • 中共火箭軍(PLARF) と主な保有ミサイル
    ・中共軍の指揮系統
    ・PLARFの主要基地の配置
    ・ミサイル部隊の構成
    ・PLARFの主な保有ミサイルの諸元
    ・対処上の課題:まずは「ミッドコース・ミサイル防衛」としての統合
    ・614旅団/655旅団からのミサイル攻撃(概念)
  • まとめ
    -早期警戒衛星保有の必要性

2.第7回予定等:

  テーマ:”令和6年度概算要求に見る「ミサイル防衛」への備え”(仮)
ー「思則有備」?ー

   日時/場所:10月26日(木) 15:00-17:00 @JISSオフィス

  1. 場所等:参加者はJISSオフィス(紀尾井町)に5分前までに参集。リモート配信は行いません。
  2. 講義、資料等:すべて幹事側にて準備します。
  3. 会議でのディスカッションはチャタムハウス・ルールに準じることとします。参加者には自由な意見交換をお願いします。

3.今後の計画等:

  原則毎月月末の木曜日に開催することで、運営しておりますので、ご参考ください。次々回の予定は以下の通り。
          ・第8回 11月30日(木)15:00-17:00 @JISSオフィス

以上