お知らせ

研究会

MD研究会からのお知らせ MD#19

発信日:2023年10月27日
内容:R5第7回分科会の実施報告と次回のご案内
発信者:MD研究会 三堀(幹事代表)
分類:研究会_MD

“R5第7回分科会の実施報告と次回のご案内”

 第7回分科会(10/26)を、一般会員2名、研究所側からは今津理事長、藤井事務局長及び研究員5名の計7名の参加のもと、以下の通り実施しました。

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  今回は、8月31日に「令和6年度概算要求」が発表されたことを受けて、その要求内容について、関連の補足公開情報などを参考に、焦点を「ミサイル防衛」に係る「スタンド・オフ防衛能力、統合防空ミサイル防衛能力」に絞って、整理を行いました。
  また、あくまでもMD研究会としての一つの基準ではありますが、有事勃発の蓋然性が高いとされる「2027年」時点で、今回の計画でどこまで装備化/配備化が行われるか、「ミサイル防衛」に寄与できるのかの評価も我々なりに試みました。
 
  今回の分科会における結論は以下のようにまとめられます。2027年をメルクマールとした場合、今回の「令和6年度の要求」が最後のタイミングとなることを考えると、予算成立までに、急いで対策、補強すべき点があるのでは、と考える次第です。
 
(1)スタンド・オフ防衛能力の強化
  【目標情報の収集】 評価:✕
宇宙利用については、2027年に装備化を目指す具体的なISR装備についての計画は見当たらない。「無人機(UAV)、目標観測弾の整備」についての計画はあるが、島嶼侵攻に対するもので、弾道ミサイル等による攻撃に対する相手領域(敵基地)への反撃に寄与するものではない。
  【スタンド・オフ・ミサイル】 評価:〇
国内開発品については、12 式地対艦誘導弾能力向上型を始めとして、各量産弾の取得に向かって計画が進められてる。外国製ミサイルについても、懸念されたトマホークが1年前倒しで2025年度から取得する方向が日米防衛相会談にて確認されるなど、導入に向かっての着実な調整が行われている。

  【発射プラットフォームの多様化】 評価:〇
12 式地対艦誘導弾能力向上型の地発型・艦発型・空発型の継続開発の他、潜水艦搭載垂直ミサイル発射システム、輸送機搭載シス テム等の開発・整備への取り組みが前広に開始されている。
 
(2 )統合防空ミサイル防衛能力(迎撃アセット)の強化
 
  【センサ】 評価:✕
固定式警戒管制レーダー(FPS)等の能力向上、次期警戒管制レー ダーの換装、新型レーダ(LTAMDS)の導入等は計画されているが、肝心のミサイル発射の兆候把握やミサイル発射の探知に不可欠な宇宙利用システムの装備化を目指す具体的な計画は見当たらない
 
  【迎撃システム】 評価:〇
イージス・システム搭載艦(2027年度1隻、2028年度1隻)の建造、E-2D×5機の米国務省売却承認等、当初計画(中止となったイージス・アショアは当初は2025年納入)等からは遅れるものの、2027年には配備開始・増勢がなされる見通し。
 
  【弾道ミサイル、航空機、巡航ミサイル」対処用のミサイル】 評価:〇
SM-3BlockⅡA、SM-6 BlockⅠ、新艦対空誘導弾(A-SAM)、中SAM改、PAC-3MSE等の迎撃ミサイルの着実な調達が計画されている。
 
  【「極超音速兵器」対処用のミサイル】 評価:
滑空段階対処の誘導弾システム(GPI)の調査研究はスタートはするが、その試作完了は2033年(米DoD)である。SM-6についても BlockⅠの調達は決まったが、あくまでも区域(艦隊)防空用であり、 BlockⅠB等の弾道ミサイル/極超音速対応ではない。また、新艦対空誘導弾(能力向上型)の開発完了は30年度の計画。陸上対応ではHGV対応の03式中距離地対空誘導弾(改善型)能力向上型は早期開発分が2026年完了を予定するが新規開発分は2028年開発完了とされている。いずれもこれから本格的に開発等がスタートするものであり、2027年装備化に間に合わせることは極めて厳しい状況。

(3)調達要領改革-防衛装備をアジャイル型に-  評価:◎
防衛省内に8月下旬、「早期装備化」を進める旨を通達。防衛省の訓令や自衛隊の規則を順次改め、2023年度中には防衛装備の研究開発から実用までの期間を短縮する仕組みが整う見込み。上記の各開発品、特に「極超音速兵器」対処用のミサイルの装備化の促進につながることを期待したい。
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 次回第8回MD分科会は、11月ではなく、12月開催(テーマ未定)を計画しております。新規の参加者(会員)もウェルカムです。【コチラ】を参考にお申し込みください。

1.今回の実施内容:

  テーマ: "令和6年度概算要求に見る「ミサイル防衛」への備え”
      -2027年における評価:メルクマール-
   日時/場所:10月26日(木) 15:00-17:00 @JISSオフィス
   主な内容:(以下のとおり)

■時事ネタ: 10月7日のイスラム原理主義組織ハマスによるイスラエル急襲
  -イスラエルは何故ハマスの奇襲を許したのか
  -10月19日、米駆逐艦がイエメン近海でイスラエル標的としたと思われるミサイルを撃墜 

■令和4年12月発表 「防衛力整備計画」
  ・スタンド・オフ防衛能力
  ・統合防空ミサイル防衛能力
(1)統合防空ミサイル防衛能力
    -迎撃アセットの強化
    -イージス・システム搭載艦のイメージ図
    -各イージス艦の主要装備、諸元等
    -スタンダード・ミサイル・ファミリーの概要
    -ミッドコース/SBT段階の迎撃システム
(2)スタンド・オフ防衛能力
    -各スタンド・オフ・ミサイルの整備計画(令和5年度予算との比較)

■調達要領改革:『防衛装備をアジャイル型に!』

2.第8回予定等:

    12月開催(テーマ未定)

以上